当医院は一般歯科であり、小児歯科専門医ではありませんが、小児の診療には力を入れております。成人の多くの治しづらい難症例を経験して、その原因を小児期から対応したいと考えたことがキッカケです。今では小児期に難症例の原因となる口腔習癖を改善すること、小児期の内に歯に関心を持ってもらいブラッシングの最低レベルを向上すること、などが生涯にわたって最高の予防治療になる、、、と考えて熱意を持って診療しております。

小児治療

診療の全てを教えて頂いた師匠である川崎市開業の須貝昭弘先生が私の勤務時代に小児診療に力を入れており、興味を持ったのがはじめです。小児治療は知識、経験において普通はなかなか学ぶ機会がありませんが、勤務時に実際に様々な対応させて頂く事で若い頃から多くの経験をさせて頂きました。
当たり前ですが、小児はいずれ成長し大人になります。小児専門医ではなく大人の治療をずっとやってきたからわかる成長や先を見越した対応が当院の一番の腕の見せ所です。

小児の治療は0歳児の授乳がうまくできないトラブルから始まり、1歳半検診、うがいができるようになって2歳ぐらいから歯ブラシ練習とフッ素塗布、3〜5歳で虫歯になってしまった時に時にはきちんと治療をするためのレストレイナー(ネット)、6歳以降前歯の生えかわり時期からの矯正治療、小学校高学年の口腔習癖改善、中学生のブラッシングの最低レベルの向上、、など様々な場面に対応できるように研鑽を積んでおります。

口腔習癖

当医院で書かせて頂いた書籍
「口腔習癖」の書影

小児の口腔習癖には非常に興味を持って対応しています。口腔習癖はいろいろな種類があり、対応も様々です。一番わかりやすい例としては指しゃぶりが挙げられます。指しゃぶりは1歳半頃から2歳までがピークでそれまではむしろ発達段階において自然な生理的行為ですが、その後もやめられないと指しゃぶりの形に合わせて上下の前歯が離れてしまいあたらなくなるといった歯並びに悪影響が出てしまいます。上下の歯があたらなくなる状態を開咬と言いますが、乳歯列で開咬であると大人になっても開咬のままになってしまう症例も少なくありません。乳児期の問題が将来にわたって悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。それぞれの口腔習癖をきちんと理解し、早期に発見し対応することは、歯科にとって非常に効果があがります。
ここ数年、ようやく口腔習癖という分野が歯科界で認められるようになってきました。2019年に20年の集大成の歯科の専門書ですが書籍を書かせて頂きました。これからもこの分野には力を入れていきたいと思っております。

矯正治療

歯並びが悪くなる原因は、歯の大きさに対して顎が狭いといった解剖学的な問題と、前述の口腔習癖が挙げられます。顎が狭いといった解剖学的な問題は矯正装置を使えば直せますが、口腔習癖による歯列の乱れは原因である口腔習癖が治せないと結局は治せません。以前は口腔習癖に対する知見が足りなかったために、うまくいかなかった症例が多々ありました。所謂矯正の後戻り、、と言われる現象は矯正装置が悪いのではなく、歯列が乱れる原因の口腔習癖が治っていないためにまた同じような傾向で歯列が乱れてしまう、、、という現象によるものです。口腔習癖への対応ができるようになるにつれ、矯正治療の成績も上がってきました。
ただ、口腔習癖は「癖」と名前がついているだけあって、本人の治そうとする意志が必要です。歯科医師側が頑張っても本人が治す気がないと治せないので、子ども達のモチベーションが重要になってきます。
矯正治療を成功に導くために、口腔習癖の指導、ブラッシングの指導も平行して行い、小児期で安定した口腔環境を作っていきたいと思っております。
また、矯正治療を成功に導くためにもう一つ大事なことは、なるべく小さい頃から対応を始めることです。できれば就学前から、遅くとも小学校低学年のうちに始められないと、対応はどんどん難しくなっていきます。早めの受診をお願い致します。